「歴史的図書館用品の調査・収集・保存事業」について
2013年1月
社団法人 日本図書館協会
キハラ株式会社
図書館のIT化は図書館業務の大きな転換をもたらし、より充実したサービスの実現を可能としてきております。また図書館の建替えは、より使いやすく働きやすい環境づくりとなっております。
しかしその一方で、図書館独自の技術のほか、多くの貴重な用品(各種帳票類などの消耗品、事務用品)、家具、機器などが失われてきております。これらの用品は現場職員の工夫により生まれたものや、図書館用品の専門企業による開発、また相互の研究によって創り出されたものなどさまざまです。いずれもより利用しやすい図書館、より効率的な業務改善を追求するなかで、生み出されてきたものです。それが広く普及することにより、用品の標準化を実現してきました。
用品の歴史は図書館発展を跡付けるものとして、大変貴重な資料です。しかしながら、それを保存し後世に伝える努力はほとんどされてきておりませんでした。現場で現物を保存することはかなり困難であることや官庁の物品管理の規定などにより廃棄・散逸することを黙ってみているほかはない状況です。個人的な努力によって、かろうじて維持されているものもありますが、それもわずかです。
こういった状況から図書館関係者の間では、何らかの手を打つべきではないかとのご意見がかねてから出されていました。とりわけ合併・法人化など図書館設立母体が急激に変化する状況も招来しており、それだけに急ぐ必要があるのではないか、との心配もされておりました。
そこで日本図書館協会とキハラ株式会社は、2004年に図書館の発展史上参考となる用品、家具、機器などを調査し保存する事業を共同して実施することを決めました。日本図書館協会としては、その目的にかなった事業であり、またキハラ株式会社としては90周年より100周年に向けた継続的な図書館振興事業としてふさわしい事業と考えました。その後、この事業について、各図書館からあたたかい指示とご協力をいただき、現在1200点程の貴重な用品が集まりました。この成果をさらに進展させるため、双方いっそうの協力を図ることにし、改めてその趣旨を述べる次第です。
キハラ株式会社の実施する調査の帰属、および入手した現物の所有権はいずれも日本図書館協会が保持するものとしております。
どうか上記趣旨をご理解いただき、さらなるご協力を賜りたいと存じます。