キハラ設計室便り ~地場産材を活用した家具~

キハラでは、さまざまな図書館にあったオリジナル家具の製作も行っています。オリジナル家具は、その図書館を印象づけることもある特長を持った家具です。今回は、地域の木材(地場産材)を用いた家具をご紹介します。

沖縄県立図書館 インフォメーションカウンター

地場産材家具 カウンター ©キハラ株式会社

沖縄県立図書館は「知と心 文化創造のランドマーク」をコンセプトに、那覇国際通りからもほど近い好立地に商業施設やバスターミナルとの複合施設として2018年12月にオープンしました。館内には沖縄の自然や文化をモチーフにした家具やインテリアによって「沖縄らしさ」を現代建築にデザイン表現する工夫が随所になされており、その特徴のひとつに沖縄の県木でもあるリュウキュウマツを仕上げ材に採用した家具を製作しました。


沖縄県立図書館 読み聞かせ展示架(木のオブジェ)

地場産材家具 児童書架 ©キハラ株式会社

リュウキュウマツは製材された木材として市場に出回ることがほとんどないため、家具の材料にするには原木を入手して製材するところからはじめる必要がありました。
市場に出ないリュウキュウマツは自然に倒木したものや間伐材などで時折出回るものを待って入手しなければならず、さらに沖縄県はそれほど林業が盛んではない事情もあって原木の入手はスムーズではありませんでした。他にも、マツ科の特徴でもある松脂や、硬い節が多くて、仕上げ材用の突板への製材には向かない等、家具の材料にするためには問題をひとつひとつクリアしなければなりませんでした。
そんな、こだわり抜いたリュウキュウマツ仕上げの家具は、沖縄の自然が育んだ荒々しい木目や節が「沖縄らしさ」を表現するユニークな家具に仕上がったと思います。

ミライ on 図書館 雑誌架

地場産材家具 雑誌架1 ©キハラ株式会社

ミライon図書館は、県立長崎図書館の建物の老朽化や多様化する利用者ニーズに応えるための新たな図書館として、県立図書館と大村市立図書館を一体化した施設として2019年10月にオープンしました。九州最大規模の収蔵能力を有した開放的な大空間の館内には長崎県対馬産スギ材をふんだんに使用した家具が採用された親しみと落ち着きのある図書館です。

ミライ on 図書館 雑誌架(天・側:スギ角材 90×90)

地場産材家具 雑誌架2 ©キハラ株式会社

書架や雑誌架には県産材のスギ角材が使用されており、角材を大胆に交互に組み合わせた構造は9cm角もある大きな角材の存在感を更に際立たせています。角材は木の手触りや香りも感じられるように抜け節の埋め木や表面処理などは安全性を確保しながら最低限の処置としているため、長崎県の自然で育った荒々しくも素朴な天然木材の表情がありのままに伝わってきます。地域産材を大胆に使用したユニークさと温かみを持つ家具はミライon図書館の魅力のひとつになっています。

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納入事例 沖縄県立図書館

納入事例 ミライ on 図書館

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